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相続

お墓や仏壇は誰が引き継ぐ?

2018.05.06更新

「実家のお墓や仏壇は誰が引き継ぐことになるのでしょうか?これも他の財産と同じで遺産分割をする必要がありますか?」との相談をお受けすることがあります。

ここでは、祭祀財産の承継についてお話しします。

1.祭祀財産とは?

祭祀財産とは、先祖代々からの系譜(家系図等)、祭具(仏壇、仏具、神棚等)及び墳墓(墓石等)のことをいいます。 祭祀財産は分割相続になじまないため、民法上、一般の財産とは異なった特別な承継ルールが定められています。 そのため、祭祀財産は一般の相続財産(不動産や預貯金等)と区別され、遺産分割の対象にはなりません

2.祭祀財産の承継者

では、この祭祀財産は誰が引き継ぐのかですが、生前行為又は遺言で指定された「祭祀主宰者」が引き継ぐことになります。

生前行為又は遺言で祭祀主宰者を定めていない場合は、地域の慣習又は相続人間の話し合いで決めることが多いと思います。 慣習や相続人間の合意もない場合には、調停や審判を申立てることにより、最終的には家庭裁判所が決定することになります。

なお、祭祀主宰者は相続人には限りません。また、親族関係にない人を指定することも可能です。 仮に相続人の一人が祭祀主宰者になったとしても、本来受け継ぐ相続分になんら影響はありません。つまり、「長男がお墓や仏壇を見ていくから、多めに相続できる」というわけではなく、法律に則って相続分計算が行われます。 ただし、相続人間の合意でお墓を見ていく長男に多めに相続させることは可能です。 祭祀主宰者は、祭祀財産の承継の放棄や辞退はできませんが、祭祀を行う法律的義務はありません。 そのため、実際に祭祀を行うかどうかは、祭祀主宰者の考え方次第になります。

通常は長男が指定されることが一般的だと思います。こればかりは親子の信頼関係によるところが大きいのではないでしょうか。

3.最後に

祭祀財産と合わせて相続財産となるかどうかでよく相談を受けるものとして「香典」があります。 裁判例では、概ね香典は葬儀の主宰者(喪主)になされた金銭の贈与であり遺産には属さないと解されています。 そのため、原則として香典は相続財産には該当しないと考えられています。

香典や葬儀費用の取扱いをめぐっては、相続人間でトラブルになるケースも散見されます。

遺言により、祭祀財産の承継と合わせて葬儀についての定めや葬儀費用の負担方法等を定めることにより、無用なトラブルを少しでも回避できるのではないでしょうか。