特別の寄与に基づく金銭請求
2018.11.21更新
平成30年7月6日に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立しました(同年7月13日公布)。この特別の寄与については公布の日から1年以内に施行される(別途「政令」で指定)ことになっています。
今まで相続人以外の親族は、被相続人の療養看護等に努めてその財産の維持や増加に寄与したとしても、相続人ではないとの理由でまったく相続財産の分配を受けることができませんでした(被相続人から遺贈を受けることは可能です)。
今回の改正により相続人以外の親族(たとえば、夫の父が亡くなった場合の妻等)が、被相続人の療養看護等を行った場合、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭(特別寄与料)の支払いを請求することができることになりました。以下で概要をご紹介します。
1.特別の寄与とは?
寄与行為として認められるためには「療養看護」や「事業従事等の労務の提供」を無償で行い、被相続人の遺産の維持・増加に貢献することが必要です。
2.特別寄与者
特別寄与者となりうる人は、被相続人の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)です。ただし、相続人、相続放棄をした人、相続欠格者、相続廃除された人は除かれます。言うまでもありませんが、特別寄与者に該当するのは被相続人の「親族」であるため、内縁の妻が相続人に対し特別寄与料の請求を行うことはできません。
3.特別寄与料
特別寄与料の具体的な価額は相続人と特別寄与者の協議によって定められ、協議が整わないときや協議ができないときは家庭裁判所に特別の寄与に関する処分の審判を申し立てることによって支払い内容が定められることになります。
寄与料の負担については、各相続人が法定相続分の割合に応じて負担する必要があります。
4.最後に
本改正により、相続人以外の親族の被相続人に対する寄与に報いることが可能になりました。被相続人の療養看護をした親族と何もしていない相続人の不公平さが少しでも解消されることを期待したいものです。
たとえば、長男の嫁が義父の療養看護に努めていた場合、今までは「私はどうせ相続人ではないから、義父の財産は何ももらえないんだわ・・・」とあきらめていたことが、今後は特別寄与料の請求権を持つことで相続人に相対することができるようになります。本格的に施行されたあとにこの制度がどのように利用されていくのか、その動向が気になります。