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遺言

遺言書があれば相続手続は手間いらず!

2017.12.02更新

「なるべく子どもたちに手間をかけさせたくないので、不動産の相続に関して遺言書を作っておきたいです。遺言書がある場合とない場合とで将来の相続手続はどう違うのですか?」 との相談をお受けすることがあります。

ここでは、遺言書が『作成されている場合』と『作成されていない場合』の不動産の相続手続についてお話しします。

遺言書が作成されていない場合の相続手続

遺言書がない場合、法定相続分で分割する場合を除き、相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。 遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があり、一人でも除外して行えば協議は無効になります。

つまり、遺産分割協議には、相続人全員が関与しなければなりません。

なお、遺産分割協議は、相続人全員が一斉に集まって行う必要はなく、書面や電話のやり取りでも問題ありません。

相続による不動産の名義変更には、原則として「相続人全員の実印が押された遺産分割協議書」と「相続人全員の印鑑証明書」が必要です。

仮に、以下の事情により遺産分割協議ができない場合はどうなるでしょうか。

①相続人の一人が行方不明の場合 ②相続人が不仲で話し合いができない場合 ③認知症の相続人がいる場合

別途で以下の手続が必要になり、不動産の相続手続が円滑に進まなくなってしまいます。

①については、不在者の財産管理人の選任申立(財産管理人が遺産分割協議に関与) ②については、遺産分割調停や遺産分割審判 ③については、成年後見の申立(成年後見人が遺産分割協議に関与)

上記手続を経由することによって生じる問題点は次の点です。

☑遺産分割協議に入るまでに相当な時間がかかってしまう。 ☑調停や審判で分割する場合、必ずしも想いにそった分割ができない可能性がある。 ☑不在者や被後見人には原則として法定相続分相当の遺産を与える必要がある。

遺言書を作成していなかったことで、相続人である家族に大変な負担をかけてしまうかもしれません。 また、生前は仲良しだった相続人が、遺産分割をきっかけとして不仲になってしまう可能性もあります。

遺言書が作成されている場合の相続手続

遺言書がある場合、相続人間での遺産分割協議は不要です。相続人全員の実印の押印や印鑑証明書はいりません。

つまり、相続手続に相続人の全員が関与する必要はありません。

ただし、相続人以外の人に不動産を遺贈する場合、手続きをスムーズに進めるためには、遺言執行者を定める必要があるので注意を要します。 遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人です。

仮に、遺言書で遺言執行者を定めていなかった場合、不動産の相続手続を進めるためには、家庭裁判所に申立てをすることにより遺言執行者を選任してもらうか、相続人の全員の協力が必要になります。

そのため、相続人以外の人に不動産を遺贈する場合には、必ず遺言執行者を定めることをおススメします。

遺言執行者は、未成年者か破産者以外なら誰でもなれます。もちろん、不動産を取得する人(遺贈を受ける人)でもなれます。

遺言書があれば、相続人の中に行方不明者や認知症の人がいたとしても、原則、不動産を「取得する人」のみで、又は不動産を「取得する人」と「遺言執行者」だけで不動産の相続手続が可能です。

なお、遺言の種類が、自筆証書遺言(自分で作成した遺言)の場合は、家庭裁判所において検認手続を経由する必要があります。 この検認手続を経由しなければ、遺言書を相続手続で使うことはできません。

公正証書遺言(公証役場で作成した遺言)の場合は、検認手続が不要なため、そのまま相続手続で使うことが可能です。

よって、遺言書を公正証書遺言で作成していれば、他の相続人の協力も、検認もいらないことになりますので、遺言書がない場合に比べて手間はかかりません。

遺言書の作成は何よりの家族孝行になるのではないでしょうか。