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遺言

遺言執行者のお仕事

2018.02.28更新

「私は、父の遺言書の中で遺言執行者に指定されました。先日、父が亡くなり、今後の手続をどのように進めたらいいか途方にくれています。。」 とのご相談をお受けすることがあります。

ここでは、遺言執行者の仕事についてお話しします。

遺言執行者とは?

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人で①遺言書により指定された人、②遺言書により指定を委託された「第三者」から指定された人、③申立てにより家庭裁判所が選任する人のことをいいます。 つまり、遺言執行者は、遺言の内容を実現するために不動産の名義変更や預貯金の解約払戻し等の手続を行う人のことをいいます。 なお、遺言により遺言執行者として指定された人が、未成年者及び破産者の場合には欠格事由に該当するため、遺言執行者に就職することはできません。

遺言執行者の権限と義務

①遺言執行者の権限

遺言執行者は、相続財産の管理その他の遺言執行に必要な一切の権利義務を有しており、相続人は遺言の執行を妨害する行為ができません。そのため、遺言執行の対象となる財産を相続人が管理している場合、その相続人は遺言執行者に対し当該財産を引き渡さなければなりません。

②遺言執行者の義務

遺言執行者の主な義務と、その内容は以下のとおりです。

①善良な管理者としての注意義務 遺言執行者は、遺言の執行にあたり「善良な管理者としての注意」をもって遺言執行に必要な行為をする義務があります。要するに、業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のことをいいます。
②報告義務 遺言執行者は、相続人から請求があったときは、いつでも遺言執行の状況等について報告する義務があります。
③受取物等の引渡義務 遺言執行者は、遺言の執行にあたり、相続人や受遺者のために受領した金銭やその他の物、収受した果実、権利等を相続人や受遺者に引き渡す義務があります。

遺言執行者の職務

(1)相続関係調査
まずは、相続人全員に対し、就職通知及び財産目録を交付する前提としての相続人調査を行います。

戸籍や住民票等を取得し、通知の名宛人となる相続人を確定させます。

(2)遺言書の検認申立て
遺言執行者が自筆証書遺言等(公正証書遺言は除く)を保管している場合は、家庭裁判所に対して検認申立てを行う必要があります。 検認とは、遺言書の形式的な状態を調査確認する手続です。 なお、検認手続を行った後でなければ、遺言執行のメイン業務である法務局や銀行での手続を進めることができません。
(3)相続人や銀行等への通知
遺言執行者に就職した旨を相続人全員に通知する必要があります。また、銀行その他の金融機関にも通知を送り、遺言執行者へ就職したことを伝えておきます。なお、相続人全員に対しては、この段階で「調査未了」を明示した財産目録を交付します。
(4)相続財産調査
最終的な財産目録の作成や遺言事項の執行の前提として各種財産調査が必要になります。

不動産については、登記簿や名寄帳、評価証明書を取得することにより調査します。 また、金融資産(預貯金や株式)については、残高証明や取引明細を取得することにより調査します。

(5)相続財産の保全・管理
遺言執行者は、その相続財産の種類に応じて、財産の保全・管理を行う必要があります。 遺言執行の対象となる財産を管理している相続人がいる場合、その財産の引渡請求を行う必要があります。
(6)相続財産目録の作成・交付
相続財産調査が終わり次第、最終的な相続財産目録を作成し、相続人全員に交付する必要があります。
(7)遺言事項の執行
遺言執行者として、遺言事項を実現するため、不動産登記の申請、不動産の売却、預貯金の解約払戻し等を行う必要があります。まさにこれが遺言執行者のメイン業務です。
(8)遺言執行の終了報告
遺言執行が完了した場合は、相続人や受遺者に対し報告書などを作成し通知します。

最後に

上記でも述べたとおり、遺言執行者の職務は様々であり、多くの義務が課せられています。これを怠った場合には損害賠償責任を負う可能性があります。そのため、遺言執行者を引き受けるかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。

なお、遺言書で第三者に遺言執行の事務委託ができる旨の記載がある場合は、弁護士や司法書士等の専門職に遺言執行を復委任することが可能です。

遺言執行の手続は、煩雑であり、かつ専門的知識を要するため、遺言の執行に着手する前に、一度、専門家へご相談することをお勧めします。