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司法書士・行政書士 坂田英輝事務所

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相続財産に多額の借金が・・・

2017.10.06更新

実家の遺品整理をしていたら、なんと、亡父宛の借金の督促状が見つかった。
この借金どうしよう、私が払わないといけないのかしら、と焦る一方・・・一度、冷静になってください!

こんなときは、まず次の点を確認しましょう。

 ・他にも借金がないか。
 ・被相続人の死亡日から3か月が経過しているか。
 ・既に被相続人の財産を処分してしまっているか。

☑他にも借金がないか。

まずは、被相続人の債務調査で借金の有無を確認しましょう。

被相続人の借金がどれくらい残っているか、それを調べる手段があります。

①被相続人の保有していた書類(請求書・契約書等)で確認する方法。

被相続人宛に届いている請求書、督促状、契約書等で借入先や金額を確認しましょう。

②信用情報機関に照会をかける方法。

相続人は、被相続人の借入に関する情報を信用情報機関に照会することが可能です。

・信用情報とは、クレジットやローンなどの信用取引に関する契約内容や返済・支払状況・利用残高などの客観的取引事実を表す情報です。
・信用情報機関とは、加盟する会員会社から登録される信用情報を、管理・提供することで、消費者と会員会社の健全な信用取引を支える機関です。
 消費者がクレジットやローンなどを利用する際、会員会社は消費者の信用力を判断するために信用情報機関に登録されている消費者の信用情報を確認しています。

信用情報機関は次の3つの機関になります。

・JICC
・CIC
・全国銀行協会

照会方法は、各ホームページに丁寧に記載してありますので、相続人ご自身でも手続が可能かと思います。

③被相続人が個人事業主や会社経営者の場合の確定申告書類等で借入金、買掛金、未払金を確認する方法。

事業者の場合、借入金や買掛金の有無を申告書類や元帳で確認する必要があります。
また、会社経営者の場合、社長が会社の債務を保証しているケースが多いので、注意を要します。

 

以上、3つの手段がありますが、①から③まで漏れなく調査したからといって、絶対大丈夫というわけではありません。

信用情報機関に加盟していない業者等については検索することができません(個人間での貸し借りや、ヤミ金等)し、契約書等の書類を紛失していて確認のしようがない債務もあるかもしれません。

もし不安が残るようでしたら、相続放棄や限定承認の手続を検討するべきではないでしょうか。


☑被相続人の死亡日から3か月が経過しているか。

相続放棄とは、相続人が遺産の相続を放棄することをいいます。
マイナスの財産(借金等)だけではなく、プラスの財産(不動産、預貯金等)も含めてその遺産の全部を放棄することになります。

相続放棄の申述期限は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」です。
一般的に多いのは、相続人が被相続人の死亡日に相続の開始を知るケースです。この場合は、死亡日から3か月を経過する前に相続放棄の申述をしなければなりません。

なお、民法は、上記のとおりこの3か月の起算点を「死亡日」ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時から」と定めています。
諸般の事情により、相続人が死亡日よりも後に自己への相続の開始を知ることがあります。

たとえば、絶縁状態で被相続人が死亡したことさえも知らなかった場合です。
ある日、どこかしらの役所から税金の督促の手紙が届いてはじめて被相続人の死亡を知ったというケースです。

この場合の「知った時」とは、役所からの手紙が相続人へ届いた日になります。

したがって、事情によっては、死亡日から3か月経過していても相続放棄が可能な場合があります。

安易にご自身で判断をせず、専門家に相談することをお勧めします。

 

*相続財産調査が3か月以内に終わらない場合

相続財産調査が3か月以内に終わらないというケースも考えられます。
この場合、家庭裁判所に対して「熟慮期間の伸長の申立て」が可能です。

熟慮期間の伸長の申立てとは、正当な理由があれば、本来3か月の熟慮期間(相続を承認するか放棄するかを考える期間のこと)を一定の期間延長できる制度です。相続放棄と同様に家庭裁判所に申立てをすることにより認められます。

債務調査等が3か月を超えそうな場合は、熟慮期間内に期間の伸長を申し立てることも得策です。


☑既に被相続人の財産を処分してしまっているか。

民法は、相続人が相続財産の全部又は一部を「処分」したときは、単純承認をしたものとみなす、としています。
単純承認とは、文字通り、被相続人の遺産を相続することを認めることです。
これにより、以後、相続人は相続放棄や限定承認を選択することができなくなります。

なお、相続財産の処分によって単純承認をしたものとみなされるためには、相続人が「自己のために相続が開始した」という事実を知るか、又は少なくとも相続人が被相続人が死亡した事実を確実に予想しながら、あえてその処分をしたことを要します。

ここでいう「処分」の典型例としては、被相続人の現金や預金を相続人が自分のために消費してしまったような場合です。

ただし、相続人が相続財産を処分しても相続人が自己のために相続が開始した事実を知らなければ、単純承認をしたものとはみなされません。

単純承認をしたものとみなされるかどうかは、相続放棄の申述が受理されるか否かの判断に大きく影響してきます。安易にご自身で判断をせず、専門家に相談することをお勧めします。


☑万が一、相続放棄ができない場合は・・・

相続放棄ができなかった場合、次に検討すべきは債務整理です。
もし相続債務の支払いが困難な場合は、任意整理、個人再生又は自己破産で解決を図ることも可能です。

任意整理とは、裁判所の手続によらないで債権者との話し合いにより、返済額や返済回数について個別に和解をする手続です。

個人再生とは、裁判所の手続により債務を一定額の範囲で減額する手続です。住宅ローンがある場合は、住宅ローンの返済はそのまま行い、そのほかの債務についてだけ減額することが可能です。

自己破産とは、裁判所の手続により債務のすべて(税金等の非免責債権は除く)が免除される手続です。

どの方法を選択するかは、相続人の収入、保有資産、生活状況等を総合的に判断して決定することになります。


相続放棄をする場合は、上記でも述べたとおり、3か月の期限があります。

借金の存在が発覚した際にそれを一定期間放置するのは非常に危険です。

取り返しがつかなくなる前に、早い段階で専門家にご相談されることをお勧めします。