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いずみの司法書士・行政書士事務所

遺言

負担付きの遺言

2018.06.18更新

「私は遺言書を作って長男に多めに財産を相続させたいのですが、その条件として、長男には私の妻の面倒を看てほしいと考えています。このような遺言書を作ることは可能でしょうか?」との相談をお受けすることがあります。

ここでは、負担付きの遺言についてお話しします。

1.遺言に負担を付けることは可能か?

遺言者は、負担付遺贈又は負担付き相続させる旨の遺言をすることにより、財産をもらう人に一定の「負担」を付けることができます。

①負担付遺贈とは、財産をもらう人が「相続人以外の場合」に、その人に負担を付けて財産を遺贈する方法です。

(例)「遺言者は、に遺言者の長男の生存中に限り、その面倒を看ることを負担として、遺言者の現預金を全て遺贈する。」

②負担付き相続させる旨の遺言とは、財産をもらう人が「相続人の場合」に、その人に負担を付けて財産を相続させる方法です。

(例)「遺言者は、長男に遺言者の妻の生存中に限り、その面倒を看ることを負担として、遺言者の全財産を相続させる。」

2.負担の内容は自由か?

遺言者は負担の内容を何でも自由に決められるわけではありません。公序良俗に反する犯罪行為や婚姻・離婚等の身分行為を負担とすることはできません。

よくある「負担」の例は下記のとおりです。

・ペットの飼育を負担とする場合
・債務の支払いを負担とする場合
・妻や障害者である息子の扶養を負担とする場合

基本的には、財産をもらう人ができることであれば、経済的な給付には限られません。

なお、財産をもらう人は、「負担の価額」が「遺贈の目的の価額」を超えない限度でのみ負担の履行義務を負うことになります。

3.負担を履行しない場合はどうなるか?

財産をもらう人が「負担」を履行しない場合、相続人及び遺言執行者は相当の期間を定めて履行を催告することができます。催告の期間内に履行がないときは、相続人及び遺言執行者は家庭裁判所に対し当該遺言の取消しを請求することができます。

なお、家庭裁判所の審判で当該遺言の取消が認められると遺言は初めからなかったことになります。そのため、遺言で財産を受け取っていた人が取得していたものは、原則に戻り相続人が取得することになります。したがって、財産の帰属は相続人間の遺産分割協議に委ねられることになります。

4.最後に

私が遺言作成の相談をお受けする中で、妻が高齢で財産の管理が不安なので、息子に財産を渡しておいて、その見返りに妻の面倒を看てもらいたいとの相談が多くあります。

負担付きの遺言は、実効性の確保が重要です。遺言者の想いを貫徹するためには、負担をしっかりと履行してもらう必要があります。そのため、遺言の作り方として、第三者(専門職等)を遺言執行者に指定しておき、万が一の際には遺言の取消しを請求できる態勢を整えておくことも大事かと思います。

負担付きの遺言を作成する際には、その実効性確保の点からも文言等の検討や遺言執行者の選定を入念に行う必要がありますので、一度、専門家に相談することをお勧めします。