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司法書士・行政書士 坂田英輝事務所

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相続による不動産の名義変更の流れ

2018.03.19更新

「亡くなった父名義になっている実家の不動産の名義変更をしたいのですが、まったくどうしたらいいかわかりません・・・」との相談をお受けすることがあります。
ここでは、一般的な相続(遺産分割協議)による不動産の名義変更の流れについてお話しします。


1.相続人調査

戸籍等を調査することにより、遺産分割協議の当事者たる法定相続人を確定させる必要があります。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、相続人が一人でも欠けた場合には、協議自体が無効になってしまいます。
ただし、すでに家庭裁判所において「相続放棄」をしている方は除外されます。

まずは、被相続人の出生から死亡までを確認できる戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本を取得し、相続人を確定させます。
稀にではありますが、相続人の方が知らない相続人(婚外子や前妻との子等)が発覚するケースもあります。

手順としては、被相続人の亡くなった旨の記載がある除籍謄本(又は戸籍謄本)を取得し、被相続人が前に入っていた戸籍(筆頭者・本籍地)を確認します。
この作業を繰り返していくことにより、被相続人の出生まで遡っていくイメージです。


次に相続人の現存確認のため、上記で確定した法定相続人の戸籍謄本を取得します。

被相続人である父より先に「相続人になるはずであった子」が亡くなっているケース(代襲相続)では、被相続人の子の子(つまり、孫)が相続人となります。
そのため、孫の確定が必要になりますので、「相続人になるはずであった子」の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本を取得し、孫がだれかを確定させます。


なお、被相続人の最後の住所と登記簿上の住所の繋がりを証明するために、被相続人の戸籍の附票や除票を取得する場合もあります(本籍地と登記簿上の住所が一致している場合は不要)。

◆原則的に不動産の名義変更で必要な書類 その1
①被相続人の出生から死亡までの記載がある戸籍全部
②相続人の戸籍謄本

2.不動産調査

遺産分割の対象財産である不動産を確定させるため、法務局や市役所等で不動産調査を行います。
万が一、不動産に漏れがあった場合(私道持分を漏らして遺産分割協議をした等)、その財産について再度の遺産分割協議が必要になることもあります。

手順としては、判明している不動産を管轄する市区町村の役所において、被相続人の「名寄帳」や「固定資産評価証明書(市区町村によって名称は異なります。)」を取得します。
不動産の所在場所については、毎年、送られてくる固定資産税の納税通知書を参考に調査します。

これで、被相続人が当該市区町村で所有していた不動産を把握することができます。


次に、法務局において名寄帳や固定資産評価証明書に記載のあった不動産の「登記事項証明書」を取得します。

これで、不動産の名義が被相続人になっているか、不動産担保(抵当権等)の有無等が確認できます。
もちろん、被相続人の登記簿上の住所も合わせて確認します。

◆原則的に不動産の名義変更で必要な書類 その2
③名寄帳や固定資産評価証明書(管轄の法務局によっては名寄帳が使用できない場合もあります。)

3.相続関係説明図の作成

相続人調査で取得した戸籍等をもとに相続関係説明図を作成します。
相続関係説明図は、被相続人や相続人の住所・氏名・生年月日等、一目で相続人の関係性がわかる書類です。
戸籍の還付を受ける必要がある場合には、添付が必須となります。

◆原則的に不動産の名義変更で必要な書類 その3
④相続関係説明図

4.遺産分割協議

調査により確定した相続人が、確定した財産をもとに遺産分割協議を行います。遺産分割協議と言っても相続人が一堂に会して行う必要はありません。
電話や書面のやりとりでも構いません。協議内容がまとまれば方法は問いません。

もし、相続人間で協議が整わない場合は、弁護士に代理交渉を依頼するか、裁判所に遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てることになるでしょう。

5.遺産分割協議書の作成

遺産分割協議の結果を書面に起こします(相続人間で無事に協議がまとまったことが前提)。

「○○○○は次の不動産を相続する」等の記載で「誰が」、「どの不動産」を取得するかを明確にします。
不動産の記載は、登記事項証明書をもとに記載します。

遺産分割協議書の末尾に相続人の記名捺印を行います。捺印は必ず実印で押印します。
実印であることの証明のため、相続人全員の印鑑証明書が必要になります。

◆原則的に不動産の名義変更で必要な書類 その4
⑤遺産分割協議書
⑥相続人全員の印鑑証明書

6.相続登記の申請

上記①~⑥の書類及び「当該不動産を取得する相続人の住民票」(下記⑦)を添付したうえで、登記申請書(下記⑧)を作成し管轄の法務局に提出します。登録免許税相当額(固定資産評価額の0.4%)の収入印紙も忘れずに貼付します。
たとえば、仙台市内の不動産であれば、仙台法務局が管轄となります。

登記の申請は、不動産を取得する方が申請人となりますが、司法書士に委任する場合は、委任状を提出します。
登記の完了後に法務局より登記識別情報が発行されます。登記識別情報とは、現在の権利証にあたる書類です。

この登記識別情報を法務局で受領して名義変更は終了となります。

なお、通常は名義変更ができているかを確認するため、法務局から登記事項証明書を取得します。

◆原則的に不動産の名義変更で必要な書類 その5

⑦当該不動産を取得する相続人の住民票

⑧登記申請書

7.最後に

上記のケースは、あくまでも一般的な名義変更手続の概要となります。
ケースによっては、認知症の相続人のために成年後見人の選任が必要になる場合や相続人の中に未成年者がいることにより特別代理人の選任が必要になる場合もあります。

なお、不動産の名義変更には相続放棄のような期限はありません。
そのため、手続が煩雑なほど放置しがちになってしまいますが、以下のようなデメリットがありますので注意を要します。

<相続関係が複雑になる>

不動産の名義変更を数年、放置した場合、二次相続・三次相続と発生してしまい、いざ、手続を思い立ったときには、相続人が複数になっているケースがよくあります。
相続人が多くなれば、面識のない相続人との協議が必要になったりして、なかなか手続が進まなくなることも考えられます。
場合によっては、相続人が増えたことにより、時間(調停や審判)とお金(弁護士費用)が余計にかかってしまうこともあるでしょう。そもそも、協議がまとまらなくなるケースも懸念されます。

<相続人が認知症になってしまう>

相続人の中に高齢の方がいらっしゃる場合、不動産の名義変更を放置している間に認知症になってしまうケースが考えられます。
認知症になった相続人は、単独では遺産分割協議ができません。家庭裁判所より成年後見人等を選任してもらい、成年後見人等と他の相続人が分割協議をすることになります。
なお、成年後見人等が就任した場合は、思い通りの分割方法を取れない可能性も出てきます。
基本的には、成年被後見人である相続人に代償金(相続分相当額)を支払ったり、不動産を成年被後見人と共有名義にせざるを得ない可能性もあります。

<売却や担保供与ができない>

相続財産である不動産を売却したり、担保に供するには、被相続人から相続人に名義を変更する必要があります。
手続を放置している間に上記のような事情が生じ、いざ売却しようとした際には手続が円滑に進まなくなる可能性もあります。

 

手続の進め方に不安がある場合、手続の方向性等を誤らないためにも、最初に一度、専門家にご相談されることをお勧めします。