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司法書士・行政書士 坂田英輝事務所

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未成年者の相続にはご注意‼

2018.02.12更新

「先日、夫が亡くなりました。相続人は、私(妻)と小学生の子ども2人です。相続人の中に未成年者がいても遺産分割協議はできるのしょうか?」とのご相談をお受けすることがあります。

被相続人が若くして亡くなったことにより、幼い子どもが相続人となるケースです。

ここでは、相続人の中に未成年者がいる場合の相続手続(主に遺産分割)についてお話しします。


未成年者と遺産分割

民法では、未成年者の「財産に関する法律行為」は、親権者が代理で行うと定めています。
もちろん、遺産分割協議も「財産に関する法律行為」に当たるため、親権者が代理で行うことができるように思えますが、どうでしょうか。

たとえば、相続人が妻と未成年者の子ども一人の場合、親権者と未成年者が遺産分割の当事者となります。この場合、親権者と未成年者との間で利益が相反(遺産分割協議をすることにより、一方が財産を取得すると同時に、他方はその財産を取得しないという関係になる)するため、親権者は未成年者の代理人となって遺産分割協議ができません。

では、未成年者が成年に達するまで遺産分割協議は「待て!」ということなのでしょうか。
それは違います。

未成年者のために「特別代理人」を選任してもらうことにより、遺産分割協議が可能になります。

特別代理人とは?

未成年者が遺産分割協議を行うには、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

特別代理人は、親権者の代わりに未成年者を代理して遺産分割協議を行う権限を有します。

特別代理人は、家庭裁判所の審判で決められた行為(審判書に記載された行為)について、代理権などを行使することになります(もちろん、家庭裁判所の審判書に記載がない行為については、代理などをすることができません。)。
家庭裁判所で決められた行為が終了したときは、特別代理人の任務は終了します。
特別代理人は、ご本人が亡くなるまで(又は、能力が回復するまで)は原則的にその任務が継続する成年後見人等とは違います。遺産分割協議が終われば、特別代理人の代理権はなくなります。

特別代理人に資格は特に必要ありませんが、特別代理人は、未成年者の利益を保護するために選ばれます。
したがって、特別代理人としての職務を適切に行えることが必要です。
通常は、未成年者との関係や利害関係の有無などを考慮して、適格性が判断されます。

なお、一般的には、未成年者の祖父母、叔父、叔母等を候補者として申立てを行い、そのままその候補者が特別代理人に選任される場合が多いのではないでしょうか。

特別代理人と遺産分割

上記でも述べましたが、特別代理人はあくまでも未成年者の利益を保護するために選任されます。
遺産分割協議を行う場合には、原則として未成年者に不利益を与えてはいけません。

では、特別代理人を選任してもらうには、未成年者(小学生等)にも必ず法定相続分の財産を与えないといけないのでしょうか。
親権者に全面的に面倒を見てもらっている未成年者が財産を取得するのは、現実的ではありませんよね。

そこで、結局は親権者たる母親が財産を管理することになるため、便宜上、子どもの養育を行っている母親に財産を全て相続させることもあるでしょう。

結果的に家庭裁判所に対し、「未成年者は不利益を被らない」ことをしっかりと説明できれば、このような場合でも特別代理人の選任が認められる場合もあるのではないでしょうか。

特別代理人の選任手続

特別代理人の選任は、親権者又は利害関係人の申立てにより行います。

管轄は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所です(候補者の住所地ではありません。)。
たとえば、未成年者の住所地が仙台市なら、仙台家庭裁判所になります。

標準的な必要書類は、以下のとおりです。

・特別代理人選任申立書

・未成年者の戸籍謄本
・親権者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・利益相反に関する資料(遺産分割協議書「案」
(利害関係人からの申立ての場合)利害関係を証する資料等

特別代理人の選任申立てが行われると、家庭裁判所の書面照会等を経て裁判官が特別代理人を選任するかどうかを判断します。

最後に

上記でも述べたとおり、未成年者が相続人の場合には、通常の相続手続のほか、特別代理人の選任手続が必要になります。

特別代理人の選任申立ての肝は、誰が特別代理人になるかというよりは、遺産分割の内容がいかに未成年者に不利ではないかを説明することにあります。

特別代理人の選任申立てが絡む遺産分割は、家庭裁判所を納得させる説明が必要になりますので、専門家へのご相談をお勧めします。