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相続

相続による不動産の名義変更はお早めに!

2017.09.21更新

「相続による不動産の名義変更には期限があるんですか?」 と、ご相談者の方からよくご質問をいただきます。

もちろん答えは「期限なし」です。

ですが、不動産の名義変更(相続登記)を放置すると以下のデメリットがありますのでご注意ください。


・相続人が認知症等になるおそれ

相続登記を放置しているうちに、相続人の誰かが認知症等になり判断能力が低下してしまうケースがあります。 認知症等になった相続人は遺産分割協議ができませんので、別途、成年後見人等の選任を家庭裁判所に申立てる必要があります。 家庭裁判所が選任した成年後見人は、認知症等になった相続人(以下「成年被後見人」という。)に代わり遺産分割協議を行います。 成年後見人は、成年被後見人の財産を管理、保全する必要があるため、遺産分割協議は、原則的に成年被後見人の法定相続分を考慮した内容としなければなりません。

仮に不動産の相続の場合は、成年被後見人との共有名義とするか、又は、成年被後見人に法定相続分相当額の代償金を支払い、成年被後見人以外の相続人の単独名義とすることが考えられます。

後見等の申立てからその選任までは約1~2か月の期間を要しますし、当該申立てを専門家に依頼するとその手数料もかかります。 さらに、成年被後見人以外の相続人の単独名義にする場合は代償金の負担も生じます。

なお、成年後見人の職務は、当該遺産分割協議が完了すれば終わりではありません。 成年被後見人が死亡するか、又は事理弁識能力を回復するまで続きますので注意を要します。


・相続人が行方不明になるおそれ

相続登記を放置しているうちに相続人の誰かが行方不明になるケースが考えられます(可能性は低いと思いますが)。 行方不明だから遺産分割協議に関与しなくても大丈夫・・・ではありません。

行方不明になった相続人はもちろん遺産分割協議ができませんので、別途、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てる必要があります。 家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、行方不明になった相続人(以下「不在者」という。)の代わりに遺産分割協議を行います。

ここで不在者とは、「従来の住所又は居所を去った者」(民法25条1項)であり、容易に帰ってくる見込みのない人をいいます。 生きている場合だけではなく、亡くなっている可能性がある場合も含みます。

不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保全するほか、家庭裁判所の許可を得たうえで遺産分割協議を行うことが可能です。 遺産分割協議は、原則的に不在者の法定相続分を考慮した内容としなければなりません。

仮に不動産の相続の場合は、上記成年被後見人の場合と基本的に同じです。

不在者財産管理人の申立てからその選任までには約3~6か月の期間を要しますし、当該申立てを専門家に依頼するとその手数料もかかります。 さらに、不在者以外の相続人の単独名義にする場合は代償金の負担も生じます。

なお、不在者財産管理人の職務は、当該遺産分割協議が完了すれば終わりではありません。 不在者が帰ってくるか、又は、死亡したことが判明(失踪宣告された場合も含む)するまで続きますので注意を要します。

・不在者が長期間行方不明の場合

不在者の生存が最後に確認されたときから7年以上経っている場合、失踪宣告の制度を利用することができます。 失踪宣告がなされると、不在者が死亡したものとみなされますので、その相続人と遺産分割協議を行うことになります。


・相続人が多数になり権利関係が複雑になるおそれ

相続登記を数年、数十年と放置しているうちに相続人が亡くなり、数次相続が発生するケースがあります。 ここで、数次相続とは、例えば父の相続が開始したあと、遺産分割協議等をしないうちに、その相続人の子が亡くなり、次の相続が開始することです。

数次相続が繰り返されれば、子の人数によっては、みるみるうちに相続人が多数に膨れ上がります。

「兄弟間では話せるが、その子どもたちとは疎遠だ。できることなら話したくない・・・」となると、なかなか遺産分割協議がやりにくくなります。 数次相続が発生し相続人が多数になったことにより手続が煩雑(必要な戸籍が増えたり、協議書に押印をもらう手間が増えたり)になることもあるかと思います。


・登記に必要な書類が取得できなくなるおそれ

相続登記の申請に必要な戸籍や住民票には保存期間があります。 相続登記を放置しているうちにその保管期限が切れて、必要な書類が発行されないおそれがあります。


・相続財産である不動産を売却できないおそれ

相続財産である不動産を売却するには、被相続人から相続人に名義を変更する必要があります。

相続登記を放置している間に上記のような事情が生じ、いざ売却しようとした際には手続が円滑に進まなくなる可能性もあります。


上記のおそれを回避すべく、不動産の名義変更はお早めに手続することをお勧めいたします。