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司法書士・行政書士 坂田英輝事務所

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改正相続法いよいよ本格施行その②

2019.09.15更新

前回に引き続き2019年7月1日から本格施行されている改正相続法について主な改正点をご紹介します。

今回は「遺産分割前における預貯金の払戻し制度」についてお話しします。

本改正前において被相続人(亡くなった方)の預貯金を払い戻すためには、遺言書又は共同相続人全員の同意(遺産分割協議書等)が必要であって、それらがない場合は相続人単独での払戻しは認められませんでした。そのため、相続人は葬儀費用や生活費等で早急に資金が必要な場合でも被相続人の預金を必要なときに使うことができませんでした。

そこで、「相続債務の弁済、生活費、葬儀費用等の支払いにあてるため早急に預貯金の払戻しを受けたい」との相続人の要請に応えるため本制度が創設されたものと思われます。

本改正により、以下の金額を限度として、各相続人が単独で預貯金の払戻しを受けることが可能となりました。

①預貯金の相続開始時残高の3分の1✖各相続人の法定相続分
②ただし、金融期間ごとの引き出し上限額は150万円
③上記①②以上の引き出しの必要がある場合には、家庭裁判所に仮払仮処分の申立てをすることにより、通常の仮払仮処分よりも緩和された要件で預金の仮払いが認められる。
なお、仮払いの必要性の判断及びその金額は家庭裁判所の裁量に委ねられる。

上記①及び②は、「家庭裁判所の判断を経ないで、預貯金の払戻しを認める制度」であり、上記③は、「家庭裁判所の判断に基づいて、預貯金の払戻しを認める制度」です。

以下、「家庭裁判所の判断を経ないで、預貯金の払戻しを認める制度」における払戻可能額の計算方法等について具体例で説明します。

<具体例>

被相続人は父、相続人は長男と二男の2名で、長男が払戻しを求めた場合。

父はA銀行とB銀行に預金があったケースで考えます。

①A銀行の相続開始時残高は、300万円とすると、長男の払戻可能額は次のとおりです。

<300万円✖3分の1✖2分の1(法定相続分)=50万円

②B銀行の相続開始時残高は、1,200万円とすると、長男の払戻可能額は次のとおりです。

<1,200万円✖3分の1✖2分の1(法定相続分)=200万円>  

ただし、1金融機関の払戻上限額を超えているので、払戻し可能額は150万円となります。

したがって、長男が払戻しを受けられるのは合計で200万円となります。

なお、本制度(「家庭裁判所の判断を経ないで、預貯金の払戻しを認める制度」に限る。)により預貯金の払戻しを行う場合に必要となる書類については、金融機関によって違いますが、一般的な書類は以下のとおりです(詳細については取引金融機関に直接、お問合わせください。)。

🔹被相続人の除籍・改製原戸籍・戸籍謄本
(出生から死亡までの連続したもの)
🔹相続人全員の戸籍謄本
🔹預金の払戻しを行う方の印鑑証明書

本制度により各相続人に払い戻された預金は、後日の遺産分割において、払戻しを受けた相続人が取得するものとして調整が図られることになります(払い戻された預金については、その払い戻した相続人が遺産の一部分割により取得したものとみなされます)。