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司法書士・行政書士 坂田英輝事務所

新着情報

配偶者居住権の創設

2018.10.07更新

平成30年7月6日の民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立しました(同年7月13日公布)。配偶者居住権については公布の日から2年以内に施行される(別途政令で指定)ことになっています。

今回の改正により配偶者の居住権を確保するための方策(配偶者居住権・配偶者短期居住権)が創設されました。以下、それぞれの概要をご紹介します。

1.配偶者居住権

これまでは、夫が所有する住居に夫婦で住んでいた場合に、夫の死後、遺産分割協議の内容によっては、残された妻が自宅に住めなくなってしまうことがありました。たとえば、以下のケースです。

  1. 自宅を妻以外の人が相続することになった。

  2. 自宅が唯一の相続財産であったため、自宅を売却せざるを得ない状況となり、妻の住む家がなくなってしまった。

  3. 配偶者が自宅を相続することで、その分、預貯金の取得分が少なくなり、老後の生活が不安定になってしまった。

このような事態を避けるため、妻が相続開始時に居住していた夫所有の建物を対象として、終身又は一定期間、妻にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利が新設されました。

これにより、遺産分割における選択肢の一つとして、妻に配偶者居住権を取得させることができることになったほか、夫が遺贈等によって妻に配偶者居住権を取得させることもできることになりました。

<メリット>
  1. 配偶者居住権により、自宅を配偶者以外が取得しても、配偶者がそのまま住み慣れた家に住み続けることができます。
  2. 配偶者居住権は、遺産分割等の際、配偶者の取得した相続財産として評価され、居住用不動産が、「配偶者居住権」と「負担付所有権」に分離されるため(たとえば、配偶者居住権は妻が相続し、負担付所有権は長男が相続する等)、配偶者が自宅以外の財産を取得しやすくなることが期待されます。

2.配偶者短期居住権

配偶者短期居住権とは、妻が夫の相続開始時に夫の住居に住んでいた場合、遺産分割が終了するまでの間、最低6か月間はそのまま住み続けることができる権利です。以下で具体的にお話しします。

①居住建物について共同相続人間(配偶者を含む)で遺産分割をすべき場合

配偶者は、相続開始時(被相続人の死亡時)に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間又は相続開始時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間、引き続き無償でその建物を使用することができます。

 

⇒たとえば、夫と妻が夫名義の建物に同居しており、夫が亡くなった後、遺産分割協議に1年かかった場合、妻は1年間は無償で夫名義の建物に住み続けることが可能です。

なお、遺産分割協議が3か月で終了した場合でも、妻は夫の死亡日から6か月間は無償で夫名義の建物に住み続けることが可能です。

  ②遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合や配偶者が相続放棄をした場合など①以外の場合

配偶者は、相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には、居住建物の所有権を取得した者(受遺者等)は、いつでも配偶者に対し配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができますが、配偶者はその申入れを受けた日から6か月を経過するまでの間、引き続き無償でその建物を使用することが可能です。

 

⇒たとえば、夫と妻が同居していた夫名義の建物を遺贈により取得した孫が妻(孫からみて祖母)に対してその申入れをした場合は、妻は申入日から6か月間は無償で夫名義の建物に住み続けることが可能です。

<メリット>
  1. 配偶者短期居住権の創設により被相続人が居住建物を遺贈した場合や、反対の意思を表示した場合であっても、配偶者の居住を保護することができます。
  2. 配偶者短期居住権では、常に最低6か月間は配偶者の居住が保護されます。

3.最後に

配偶者居住権の創設により、今後は遺産分割の選択肢が増えることになるでしょう。配偶者居住権の実務的運用や登記の方法などは今後の動向が注目されます。