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司法書士・行政書士 坂田英輝事務所

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相続放棄の失敗事例

2018.09.07更新

(事例1)熟慮期間を徒過してしまった

父が亡くなり、父の部屋の片づけをしていたところ、借金の残高明細や請求書関係がたくさん出てきました。いやな予感がしたため相続人全員で協議のうえ、相続放棄することを決意しました。第一順位の相続人から第三順位の相続人までの全ての戸籍を収集したりと、不慣れな作業であったため、時間がかかってしまいました。ようやく準備ができ、家庭裁判所に書類を持ち込んだところ、熟慮期間の3か月が経過しているため受理できないとのことでした。結果として、第一順位の相続人が父の全ての債務を承継することになってしまいました…

注意‼⇒相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に行う必要があります。通常、第一順位の相続人は被相続人の死亡日に「自己のために相続の開始があったこと」を知ります。そのため、この事例では、いかなる事情があっても3か月以内に相続放棄の手続を取る必要がありました。なお、相続財産の調査が3か月以内に終わりそうもない場合には、別途、家庭裁判所に対し、熟慮期間伸長の申立てを行うことが可能です。

(事例2)家庭裁判所への申述をしていなかった

母がなくなった後に多額の借金が判明しました。相続人である子どもたちは、予め相続を放棄する意思を母の債権者に伝えたうえで、「私は母の相続を放棄する」旨の書面を債権者に送っていましたが、家庭裁判所への申述を行ってはいませんでした。母が亡くなってから数か月が経過したある日、債権者から借金の督促がありましたが、「私たちは既に相続放棄している」との意識でいたため、全て無視していました。やがて、債権者より訴訟を提起されてしまいました。結果的には、家庭裁判所への申述を行っていないとの理由で、債権者の主張が全面的に認められ、母の借金を全て支払うことになりました…

注意‼⇒相続放棄の申述は必ず家庭裁判所に対して行う必要があります。他の相続人や相続債権者に意思表明しただけではその効果は生じません。

(事例3)相続放棄したら叔父や叔母に債務を承継させてしまった

亡くなった父には多額の借金があったため、母と子どもである私は家庭裁判所に相続放棄の申述を行いました。数か月後、叔父や叔母から「父の借金を支払えとの督促がきて困っている。」との連絡がきました。父の借金について叔父や叔母にまで請求されるとは思っていませんでした…

注意‼⇒相続人は相続放棄をすると、その相続権は、第一順位(子、孫など)⇒第二順位(直系尊属)⇒第三順位(兄弟姉妹)と移転していきます。そのため、相続放棄をする場合には、予め後順位の相続人にしっかりと説明し、相続放棄の手続を促すなどの対応が必要になります。親族関係が悪化する事態にもなりかねませんので、ご親族には誠意をもって対応すべきかと思います。

(事例4)法定単純承認に当たる行為をしてしまった

母が亡くなり、私と妹が相続人となりました。私はいずれ母の財産は自分が相続するものだと思っていたため、自らの急な出費の支払いのために、母の預金を引き出して支払いをしてしまいました。後日、母の身辺整理をしていたところ、母に多額の借金があることが判明しました。私は相続放棄をするつもりで司法書士に相談しましたが、母の預金を引き出し自分の支払いに充てたことが法定単純承認(相続を承認したことになる)になるとか何とかで、相続放棄できないと、依頼を断られてしまいました…

注意‼相続人が被相続人の財産を自分のために処分した場合(被相続人の預金を相続人自らの支払いに充てた場合)は、法定単純承認にあたり、法律上、相続を承認したものとみなされます。法定単純承認事由がある場合には、もはや相続放棄することはできなくなります。相続開始後、財産調査が終わるまでは、迂闊に被相続人の財産に手を出さないほうが無難です。