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いずみの司法書士・行政書士事務所

遺言

遺言の失敗事例

2018.08.28更新

(事例1)財産の一部を漏らしていたケース

父はA市内及びB市内に不動産を所有していたが、不覚にもB市内の不動産を失念してしまい、A市内の不動産のみを記載した遺言書を作成した。そのため、相続開始後、B市内の不動産については相続人間で遺産分割協議が必要になってしまった…
注意‼⇒遺言書を作成する際には、財産の漏れがないように不動産調査を行うことをおすすめします。不動産調査は、固定資産税の納税通知書や権利証等を確認したり、場合によっては名寄せを取得することによって行うことが可能です。稀にですが、公衆用道路の共有持分を漏らしてしまう場合があります。財産の一部が漏れていたことにより、遺産分割協議が必要となり、相続人間の関係性次第では相続紛争に繋がるケースも考えられますので、ご注意ください。

(事例2)遺言執行者を指定していなかったケース

父は自分の孫Cにマンションを遺贈するとの内容の遺言書を作成したが、遺言で遺言執行者を指定していなかった。相続開始後、孫Cはマンションの名義変更(遺贈による所有権移転登記)を行う際、遺言執行者の指定がなかったがために、相続人の協力を得るか、又は、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらうかの選択を迫られてしまった…
注意‼⇒遺言書を作成する際には、必ず遺言執行者を指定しておくことをおすすめします。不動産の名義変更(遺贈による所有権移転登記)をする際には、どうしても相続人全員又は遺言執行者の協力が必要になります。この遺贈をおもしろく思っていない相続人が素直に協力するとは思えませんし、家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てを行うのも一手間増えてしまいます。遺言による相続手続を円滑に進めるためには、遺言執行者の指定は必須です。

(事例3)予備的遺言の定めをしていなかったケース

父の相続人は配偶者である母、長男、次男です。父は次の内容の遺言を作成していました。 「遺言者(父)は、遺言者の妻であるDに下記不動産を相続させる。」 なお、父としては、母が父よりも先に亡くなった場合は、長男に不動産全部を相続させたいと考えていました。次男には遺留分相当額の現金を与える意思はありましたが、不動産を引き継がせる気は全くありませんでした。その後、父より先に母がなくなってしまい、父の遺言は実現されることなく、父も他界してしまいました。結局のところ、父の不動産の帰属は長男と次男の遺産分割協議に委ねられることになってしまいました…
注意‼⇒遺言書を作成する際には、次のような「予備的な定め」を設けることをおすすめします。 「遺言者は、遺言者の妻であるDに下記不動産を相続させる。Dが遺言者より先に又は同時に死亡した場合には、下記不動産は長男に相続させる。」 上記の事例のように予備的な定めを設けていなかった場合は、遺言はその効力を失い、結局のところ、父の相続財産の帰属については、長男と次男の遺産分割協議で決せられることになります。不動産を二次的に長男に相続させたかった父の想いが、二人の遺産分割協議の結果、かなわぬ夢となってしまう可能性があります。

(事例4)遺留分を考慮していなかったケース

父は後妻Eに対して一緒に暮らしていたマンションを含む財産全てを遺贈するとの遺言を作成した。相続開始後、この遺言の存在を知った前妻との間の子であるF及びGは紛糾し、Eに対して遺留分減殺請求権を行使した。遺留分減殺請求の調停、訴訟は長期化し、最終的にはEの所有する現預金ではF及びGの遺留分額に足りなかったため、Eは住んでいたマンションを換価して遺留分相当額の現金を支払うことになった…
注意‼⇒父は子の遺留分を考慮せずに遺言書を作成してしまいました。遺言の内容は遺言者が自由に決めることができるといっても、遺留分を考慮していなければ、相続紛争が勃発する可能性が高くなります。 上記事例で言えば、Eはあまり現預金を持ち合わせていなかったために、住んでいたマンションを換価することになってしまいました。たとえば、父が将来の遺留分減殺請求に備えて、Eを受取人とする生命保険に加入しておけば、遺留分相当額の現金が確保でき、マンションを換価する必要がなかったかもしれません。 また、上記事例とは離れますが、遺留分減殺請求に備えて、遺留分減殺請求を受ける人が、多めに現預金を相続するようにしておくような手当も必要になるかと思います。